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​専門領域セミナー②

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講演テーマ

『産業保健分野での理学療法(産業理学療法)の

 現状と将来展望』

産業医科大学病院 リハビリテーション部

久原 聡志 先生

​ 要旨

産業保健分野での理学療法は産業理学療法と呼ばれており、労働者の職業に関連する健康増進や労働災害、職業病などの予防を主目的とする領域である。具体的には、労働者の運動器疼痛予防、生活習慣病予防、メンタルヘルスケア、両立支援等に関与する理学療法のことを指す。

 近年、労働人口の高齢化により、特に中高年労働者の就労能力の低下、疾病の多発、労働災害が増加している。また、疾病を有したまま復職する労働者も増加していることから、産業保健の現場では、労働生産性の維持・向上を医学的に支援することへの関心が高まっており、我々理学療法士の介入に対する期待も大きい。アメリカ、オーストリアなどの工業先進国では、産業理学療法が確立されており、その成果も認知されているが、本邦では事業所内での産業医や保健師による介入や食事指導が行われているものの、理学療法士の関与が少ないのが現状である。我々が事業所に対して行った調査でも、これまで臨床で培われてきた理学療法士の動作分析や環境調整などの評価や運動指導の技術が積極的に活用されていないことが明らかとなっている。

 本講演では、本学のリハビリテーション部で行っている産業理学療法の現状を整理し、本邦初となる当院の両立支援科や福岡県理学療法士会における産業理学療法士の育成事業についても紹介し、将来展望についても共有したい。

ー講師紹介ー

<略歴>

2003年3月 平松学園 大分リハビリテーション専門学校 卒業

2003年4月 臼杵市医師会立コスモス病院 入職

2009年3月 産業医科大学病院 リハビリテーション部 入職

2014年4月 産業医科大学大学院 産業衛生学専攻 入学

2016年4月 同上 修士課程修了

2017年4月 産業医科大学若松病院 リハビリテーション部 理学療法士主任

2019年4月 産業医科大学病院 リハビリテーション部 心臓リハビリテーション室主任(現職)

 

<資格>

内部障害専門理学療法士,健康増進 参加認定理学療法士,心臓リハビリテーション指導士,日本糖尿病療養指導士,両立支援コーディネーター応用研修終了,等

 

<社会的活動>

【所属協会・学会・委員等】

日本理学療法士協会 産業理学療法部門 部員,福岡県理学療法士会 職能部理事 等

 

<研究業績>

久原聡志,大和浩 他:就労心疾患患者の復職・失職と復職者の運動療法継続状況.心臓リハビリテーション;25(1), 120-125, 2019

久原聡志、松垣竜太郎 他:中高年労働者の体力増進のための予防的リハビリテーションの産業保健への応用.日本職業・災害医学会会誌;66(5), 346-352, 2018

久原聡志、石倉龍太 他:リハビリテーション専門職の産業医学領域での活動状況.総合リハビリテーション;45(9), 947-950, 2017

 

<著書(共著含む)>

  • 心義肢装具学、医学書院、2018

  • 高齢者理学療法学テキスト、南江堂、2017

  • 脳卒中患者に対する課題指向型トレーニング、文光堂、2015

  • コメディカルのための論文が読めるようになる統計学教本-応用編-、BookWay書店、2014

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