​特別講演​

講演テーマ

『100年ライフに寄与する理学療法士を目指して』

鹿児島大学医学部保健学科

理学療法学専攻 基礎理学療法学講座

牧迫 飛雄馬 先生

​ 要旨

 わが国における2020年での高齢化率(全人口に占める65歳以上の割合)は28.7%(総務省)であり、過去最高の更新が続いている。さらに、100歳以上の人口は初めて8万人を超え、50年連続で100歳以上人口の増加している。一方で、依然として健康寿命と健康寿命の間には9年~12年程度の差異があり、この差を縮小させることが社会的な課題のひとつとされている。

 現在、要支援・要介護となった原因の第1位は認知症(18.7%)であり、第2位が脳血管疾患(15.1%)、第3位が高齢による衰弱(13.8%)となっている(2019年)。また、転倒・骨折も12.5%(第4位)と上位を占めている。高齢期における衰弱は、「フレイル(Frailty)」という表現が用いられ、フレイルは転倒による骨折や将来の生活機能障害の発生を招く恐れがあり、フレイルリスクの早期の把握・対応が望まれる。

そのため、健康寿命の延伸を図るうえでは、認知症の予防に加えて、フレイルの予防や対策も重要であり、理学療法士として寄与できる役割も大きいと考える。本講演で、より健康な100年ライフの達成に向けて、理学療法士が個人および社会に貢献できる活動に結びつくヒントが含まれていれば幸いである。

ー講師紹介ー

【現職】

鹿児島大学医学部保健学科理学療法学専攻 教授

国立長寿医療研究センター予防老年学研究部 客員研究員

早稲田大学エルダリーヘルス研究所 招聘研究員

【略歴】

2009年 早稲田大学大学院博士後期課程修了(博士(スポーツ科学))

2010年 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 自立支援開発研究部 自立支援システム開発室 流動研究員

2011年 日本学術振興会特別研究員PD

2013年 Postdoctoral Research Fellow, Aging, Mobility, and Cognitive Neuroscience Laboratory, University of British Columbia

2014年 国立長寿医療研究センター 老年学・社会科学研究センター 予防老年学研究部 健康増進研究室 室長

2017年 現職

【専門領域】

健康・スポーツ科学、介護予防、地域リハビリテーション、老年学

専門理学療法士(生活環境支援理学療法・基礎理学療法)、認定理学療法士(介護予防)

【社会活動】

日本地域理学療法学会運営幹事、日本予防理学療法学会運営幹事、日本サルコペニア・フレイル学会理事、理学療法学編集委員 他

【論文】

1.Makizako H, Nakai Y, Tomioka K, et al. Effects of a multicomponent exercise program in physical function and muscle mass in sarcopenic/pre-sarcopenic adults. J Clin Med,8;9(5). pii: E1386, 2020.

2.Makizako H, Nakai Y, Tomioka K, et al. Prevalence of sarcopenia defined using the Asia Working Group for Sarcopenia criteria in Japanese community-dwelling older adults: A systematic review and meta-analysis. Physical Therapy Research, 22(2):53-57, 2019.

3.Makizako H, Tsutsumimoto K, Doi T, et al. Exercise and Horticultural Programs for Older Adults with Depressive Symptoms and Memory Problems. A Randomized Controlled Trial. J Clin Med, 9(1). pii: E99. 2019.

4.Makizako H, Kubozono T, Kiyama R, et al. Associations of social frailty with loss of muscle mass and muscle weakness among community-dwelling older adults. Geriatr Gerontol Int, 19(1): 76-80, 2019. 他、多数

【主な著書】

・樋口由美(編),浅田史成(編),牧迫飛雄馬(編).予防と産業の理学療法.南江堂,2020

・牧迫飛雄馬(著).老年健康科学―運動促進・知的活動・社会参加のススメ―.ヒューマンプレス,2019

・牧迫飛雄馬(編).どう向き合う!?高齢者の認知機能 セラピストのための基本的な考えと臨床応用.文光堂,2019.

・島田裕之(監),牧迫飛雄馬(編).理学療法士のための知っておきたい!認知症知識Q&A.医歯薬出版,2018

・島田裕之(総編),牧迫飛雄馬(編),山田実(編).高齢者理学療法学.医歯薬出版,2017