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​専門領域セミナー①

​​「運動器理学療法の最前線」

令和健康科学大学リハビリテーション学

理学療法学科

​大分大学医学部整形外科学講座

坪内 優太 先生

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「骨の働きって何ですか?」.この問いを理学療法士にすると,どのような答えが返ってくるでしょうか.

ヒトの器官において運動器の階層性は決して高いとはいえない.エネルギーやタンパク質が不足すれば骨格筋は分解され,ミネラルが不足すれば骨は吸収される.全身状態に応じて“都合良く”利用される運動器をターゲットとする「運動器理学療法」を実施するには,本来Generalな視点が求められるはずである.

冒頭の問いに話を戻すと,おそらく整形外科医は「身体に剛性を与え,支持と運動を行うための組織」と言い,腎臓内科医は「ミネラルの貯蔵」,血液内科医は「造血組織」,免疫学者は「免疫システムの一部」と答えるかもしれない.運動器を構成する骨にこれだけの役割があることを,理学療法士がどの程度理解しているだろうか.改めて運動器を構成する器官の一つ一つを眺めると,運動器理学療法の次の展開が見えてくるかもしれない.

Introductionが大きく飛躍して恐縮であるが,「運動器理学療法の最前線」というテーマについて,10年程度の私の経験と実績では,おそらくその0.1%すら説明できない.せめて我々が進めている骨代謝研究の話題を通して,その入り口まで案内できれば幸いである.

最後に少し具体的な内容に触れる.近年の日本理学療法学会連合の分科学会で,サルコペニアや骨粗鬆症など運動器に関する企画が実施されているように,多くの疾患と運動器の関連が病態的にも明らかになりつつある.本講演の中心となる骨代謝の分野では「続発性骨粗鬆症」と呼ばれるが,これらを予防・治療するためには運動器だけに注目していては難しい.多くの患者が重複障害を抱える現代に置いては,運動器に関わる複雑な「病態」を理解した上で,「障害」を整理する能力が改めて求められる.本講演では,そのために必要な骨代謝に関する医学的知見を紹介しつつ,理学療法の「最前線」に立つための準備を共にする機会にしていきたいと考えている.

ー講師略歴ー

【学歴】

2011年 熊本リハビリテーション学院理学療法学科 卒業

2011年 大分大学医学部附属病院リハビリテーション部 理学療法士

2015年 大分大学大学院医学系研究科修士課程医科学専攻 修了

2019年 大分大学大学院医学系研究科博士課程医学専攻 修了

2022年 令和健康科学大学リハビリテーション学部理学療法学科 助教

2022年 大分大学医学部整形外科学講座 客員研究員

【社会活動歴】

2014年4月 - 2016年3月 大分県由布市介護予防事業評価班

2018年4月 - 2021年6月 第55回日本理学療法士学術研修大会実行委員会副渉外部長

2019年1月 - 現在 大分OLSネットワーク世話人

2020年4月 - 2022年3月 公益社団法人日本理学療法士協会代議員

2020年5月 - 2020年6月 日本予防理学療法学会COVID-19対策プロジェクト身体活動制限対策班

2022年2月 - 2023年1月   公益社団法人日本理学療法士協会理学療法ハンドブック作成部会

【学会活動】

 

テーマ:骨代謝疾患の予防および難治性骨折の新規治療法開発に向けた基礎研究

論 文:

Combination Therapy with Low-Dose Teriparatide and Zoledronate Contributes to Fracture Healing on Rat Femoral Fracture Model 

Yuta Tsubouchi, Shinichi Ikeda, Masashi Kataoka, Hiroshi Tsumura
Journal of Orthopaedic Surgery and Research 13(1) 267-273 2018年10月  
 

学会発表:

Can accelerometer-based gait analysis be a screening test for osteoporosis and sarcopenia? -A preliminary study in patients with hip osteoarthritis- 
Yuta Tsubouchi, Taiki Harada, Yuhi Takeo, Takashi Kataoka, Kohei Inoue, Shinichi Ikeda, Masashi Kataoka, Hiroshi Tsumura
World Physiotherapy Asia Western Pacific (AWP) Regional Congress with Hong Kong Physiotherapy Association (HKPA) Conference 2022 2022年6月19日

著 書:

PT-OT-STのための臨床に活かすエビデンスと意思決定の考えかた 
藤本 修平, 竹林 崇 (担当:分担執筆, 範囲:第4章 臨床における意思決定過程 4. 大腿骨頸部骨折)
医学書院 2020年10月

PT・OT・STのための診療ガイドライン活用法 
中山 健夫, 日髙 正巳, 藤本 修平 (担当:分担執筆, 範囲:エビデンスと診療ガイドラインの活用の実際)
医歯薬出版 2017年5月

その他にも、論文・学会発表等、多数の実績を有す

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