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~理学療法の未来を共に考える~

特別講演

講師 吉尾 雅春 氏 

(千里リハビリテーション病院)

 患者の環境因子について考えるとき、まず自宅環境や地域、職場などをあげていませんか?

 実は何よりも重要な環境因子は患者の目の前にいる理学療法士、そうあなた自身なのです。その存在によって患者は180度違った方向に導かれてしまう可能性があるのです。

 「理学療法士は現象を見て判断し、アプローチしていくべきである。脳には個別性があり、脳画像を見る意味はない。」という主張があります。1950年前後の反射生理学を基礎に発展した神経生理学的アプローチの中での言動です。脳が可視化できるようになり、脳あるいは脊髄の科学が解明されたこの時代に、脳画像を紐解くことをしないのは適切ではありません。脳画像は理学療法士に患者の持つ可能性や関わり方のヒントを教えてくれます。

 はっきり言わせていただきます。脳のことが分からないから、画像を見ても何の役にも立たないのです。脳が分かるような学習を、教育をすればよいのです。ニューロリハビリテーションへの取り組みも、再生医療への積極的な関りも、脳を理解しているからこそ意味をもって参画できるのです。

 脳のことに限らず、理学療法士の間では常識として扱われている事柄が何ら根拠のない、全く誤った見解であることも多いのです。そのような状況で運動療法が行われているとしたら・・・。

 根本的に変革して、新たな取り組みによって結果を積み上げ、未来に提供していかなければなりません。理学療法士の真価を問われているのです。基礎を大切にしつつ進化・飛躍していかなければ新しい価値を見出すことはできません。

 人間をみる理学療法士として、もう一度原点に戻って、常識を疑う良識を持つ必要があります。解剖学的なこと、運動学的なこと、地球のこと、脳のこと、そして何よりも「生活を営む社会的動物である」人間のことを考えて理学療法のあり方を問い直してみませんか?

【講師プロフィール】

吉尾 雅春(よしお まさはる)      

千里リハビリテーション病院副院長 医学博士 理学療法士

熊本県出身 

1974年 九州リハビリテーション大学校理学療法学科を卒業後、

    中国労災病院勤務。その後、兵庫県・大阪府の病院で理学療法士として勤務。

1988年~1995年 兵庫医科大学第一生理学教室研究生

1994年 札幌医科大学保健医療学部講師

1994年 大阪学院大学商学部卒業

1995年~2006年 札幌医科大学解剖学第二講座研究員

2002年 博士号(医学、札幌医科大学)取得

2003年 札幌医科大学保健医療学部教授

2006年 千里リハビリテーション病院副院長

2007年 死体解剖資格認定(厚生労働大臣)

専門理学療法士 (神経、運動器、基礎)

認定理学療法士 (脳卒中)

日本理学療法士協会 日本神経理学療法学会 代表運営幹事

学会運営審議員 および 元 脳卒中理学療法ガイドライン班長

理学療法ジャーナル編集委員

学会活動 日本リハビリテーション医学会

     日本義肢装具学会

     日本神経理学療法学会、日本運動器理学療法学会、日本基礎理学療法学会 

著書

脳卒中理学療法の理論と技術 改訂第2版(メジカルビュー)

神経理学療法学(医学書院)

運動療法学総論第4版(医学書院)

運動療法学各論第4版(医学書院)

股関節のみかたとアプローチ(DVD、ジャパンライム)  など多数

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